Kawasaki Robotics

50th Anniversary

より身近に、より幅広く。
ロボット活躍の場は広がる

2010年代に入り、日本や欧州諸国をはじめとして少子高齢化は深刻化し、
労働力不足や熟練者の引退に伴う技能の消滅、高齢化による医療負担の増加など、様々な社会課題が顕著になっています。
こうした中、ロボットがこれら社会課題解決の担い手として、製造現場を越えて、より身近な環境での活用検討が進められています。
また、一層の進化を続ける人工知能(AI)、IoT、通信ネットワークなどの技術と融合し、ロボットの可能性が益々の広がりを見せる時代を迎えます。

2013

合弁会社メディカロイド設立、医療分野への挑戦

医療分野の社会課題に対するロボット活用への期待高まりを受けて、川崎重工は2013年、検査・診断の技術を保有し、医療分野に幅広いネットワークを持ち、ち、血液・尿検体検査で世界のトップである医療検査機器・試薬メーカーのシスメックス株式会社との共同出資により、株式会社メディカロイドを設立しました。2017年には、同社初の製品となる、広範囲の患者移動機能を有する手術台「SOT-100 Vercia ヴェルシア手術台」を発売。2019年度には日本にて手術支援ロボットの上市を予定しており、その後世界展開を計画しています。

2017年3月にメディカロイドが発売したロボット手術台「SOT-100 Vercia ヴェルシア手術台」。
2015

人と協働するロボット、双腕スカラロボット「duAro」

日本の労働人口が年間64万人ものペースで減少していくと予測されている中、人と同じ空間で共存・協調が可能な「協働ロボット」に注目が集まっています。川崎重工は2015年に、「人との共存、簡単な設置・教示、双腕」をコンセプトとした「duAro(デュアロ)」を発表。生産ラインが頻繁に変わる少量多品種生産の現場への導入ハードルを下げると共に、ロボットに馴染みがないユーザーにとっての使い勝手の良さも意識し、タブレット端末からの直観的な操作やティーチングを可能としています。duAroの誕生により、小規模の工場や店舗など、ロボットの適用範囲が広がっています。

少量多品種生産に適合し、安心・安全に人と協働が可能な双腕スカラロボット「duAro」。食品工場などへの導入も進んでいます。

2本のアームを活かし、様々な作業でduAroが活躍しています。

2017

熟練技能を学習・再現する遠隔協調システム「Successor」

社会課題の解決にロボットの役割が期待される反面、世界的に見てもロボット導入はまだ進んでいません。製造業においても、従業員1万人あたりに導入されているロボットは、日本では300台程度、一番ロボット化が進んでいる韓国でも600台程度です。その背景には、人の感覚や熟練技術者の技能を必要とする作業分野や、ロボット導入がコストや時間に見合わない分野が多く、ロボット化が困難な現状があります。このような分野に対する川崎重工の提案、挑戦として、2017年11月に新たなロボットシステム「Successor(サクセサー)」を発表しました。同システムは、作業者の動作を力覚・触覚・聴覚・視覚にわたって再現する「コミュニケーター」という遠隔操作装置を通じて、ロボットが作業者の動作を覚え、プログラムに自動変換、自動運転によって動作を再現したり、毎回変動し、従来人の感覚を頼りに微調整を要していた作業も、ロボットが器用にこなすことを可能としました。Successorにより、少子高齢化に伴う社会課題に直面しながらもロボット化が困難とされてきた分野へのロボット化を目指します。

  • 国際ロボット連盟(IFR)、「World Robotics 2017」
「Successor」の組立用コミュニケーター。作業に合わせて開発されたコミュニケーターを使って人とロボットが協働します。

2018年ドイツで開催されたPaintExpoでは、Successorを使い、人とロボットが遠隔協調での塗装作業を行う様子が披露されました。

2017

ヒューマノイドの開発、産学連携が育む無限の可能性

2011年3月に起こった東日本大震災と原発事故や2014年の御嶽山噴火…こうした自然災害現場でのロボットの活用を見据えて行われてきた人型ロボット(ヒューマノイドロボット)の研究開発。課題となっていたのがロボットの壊れやすさです。ヒューマノイドロボットの研究を進める東京大学情報システム工学研究室でも、同様の課題に直面していました。そこで川崎重工は、“壊れなくて当たり前”の産業用ロボットを作ってきたからこそできる、実用性や耐久性、人と同じ動作が可能な可動域を持った堅牢なボディの開発に取り組み、東京大学との産学連携での共同開発を開始しました。今後多くの研究者がこのロボットをプラットフォームとして開発を行うことで市場を創り、これまで以上に開発を加速させるべく取り組んでいます。この成果の一端を「2017国際ロボット展」にて発表し、カワサキヒューマノイドロボットを初披露しました。

2017国際ロボット展で発表したヒューマノイドロボットは内骨格型で身⻑175cm、体重80kg。自分の体重と同じ重さのダンベルを持ち上げたり、転んでから起き上がるパフォーマンスを披露した。
2018

多種多様なプレイヤーとのアライアンスによるオープンプラットフォームの明日

2018年に川崎重工業のロボット事業は創業50周年を迎えました。1968年の創業から50年の節目に、川崎重工は新しいフェーズを迎えています。

産業用ロボットメーカーから総合ロボットメーカーへ――ロボット・ソリューション・プロバイダーの使命として、これまでの学び、経験を社会に返してゆくため、これからも挑戦を続けます。

2017年11月に行われた、ABBと川崎重工による、協働ロボット分野における協業に関する記者会見の様子。