半導体・自動車市場の新拠点、
アジアへの進出加速
21世紀に入り、少子高齢化による社会問題が深刻化する先進国に対し、右肩上がりの成長をとげるアジア各国。
自動車の売れ行きが象徴するように、いずれ“消費の一大拠点”へと育っていくことも明白でした。
また、激しい国際競争の中、電子・電機機器メーカーは、国際競争力の確保に向けて、生産の拠点をアジアに見出していました。
製造と消費の新拠点・アジアへの拠点開設
2000年代になると、新興市場として成長を加速させるアジア諸国には、日系製造企業の現地法人の約6割が集中。自動車産業では、1990年代前半から2000年代にかけてのアジアでの日本車メーカーによる生産台数は3倍にまで増加しました※。また、電子・電機機器産業は、生産拠点を日本国内からアジア諸国に移すことにより、人件費を抑え、国際競争力の確保に取り組んでいました。このように日本の製造業のアジア展開が進む中、主要顧客によるアジア進出が相次ぎ、川崎重工も販売サービス拠点の拡大を進めていきました。
1999年の韓国仁川市に「Kawasaki Machine Systems Korea, Ltd. (KMSK)」設立後、2001年には台湾、2002年にはタイ拠点設立が続きます。その後、2014年には高性能半導体の製造拠点として頭角を現すシンガポールに、サービス提供を主な役割とする「Singapore Kawasaki Robot Center」、2017年6月には、産業用ロボット適用開発サポートおよびエンジニア育成拠点としての「Singapore Kawasaki Robot Engineering Center(SKRE)」を開設。2015年には、インドの川崎重工現地法人内にロボット部門(KIRD)として拠点を立ち上げ、アジアでの事業体制をさらに強化しました。
- ※経済産業省、「我が国の海外事業活動」
成長著しい中国にて、現地法人の設立相次ぐ
21世紀、“世界の工場”として機械産業が急速に拡大し、中国国内において製造業が成長。それに伴う内需の拡大によって、一大消費地としての中国向け輸出、現地生産が急増しました。このような流れの中、川崎重工は2006年、初の中国拠点「川崎機器人(天津)有限公司(KCRT)」を天津に設立。続く2009年には、日本向けのロボット部品を中国国内ベンダーから調達する支店をKRCTの昆山(クンシャン)事務所内に発足。2013年には中国国内での内需増を視野に入れ、現地生産・現地消費を推進するため、別法人「川崎機器人(昆山)有限公司(KRCK)」として独立。“貿易型企業”から“生産型企業”への移行に向けた事業体制を構築しました。 2015年5月には、世界のEMSメーカー(電子機器の受託生産会社)が集約する重慶に、「川崎機器人(重慶)有限公司(KCRE)」を設立。ロボット単体での販売が難しい中国市場において、ロボットのみならず、工場内の車体組立治具・搬送装置・制御装置などを組み込んだ組立ラインの設計・製作・設置・立ち上げまで一貫対応するラインビルディング事業へと参入しました。
2015年には、“ロボットでロボットをつくる”をコンセプトとした工場で生産を行う「川崎精密機械(蘇州)有限公司(KPM蘇州)」を設立しました。