Kawasaki Robotics

50th Anniversary

Company
President's
Message

次代が求める
ロボット・ソリューション・
プロバイダーとして──

Yasuhiko Hashimoto

川崎重工業株式会社 取締役常務執行役員
精密機械・ロボットカンパニー プレジデント
橋本 康彦

人の夢を叶え、社会課題を解決する
ロボットをつくるため、
私たちはこれからも挑戦し続けます。

わが国初の産業用ロボットの国産化に始まる当社のロボット事業にとって、2018年は創業50周年の記念に当たります。半世紀もの長きにわたって事業を展開し、今日を迎えることができましたのは、これまで共に歩んでくださったお客様をはじめ、ビジネスパートナーの方々、また今日に至る礎を築かれた諸先輩方や従業員など、実に多くの皆様のご尽力とご協力の賜物と、心より感謝申し上げます。

当社のロボット事業は、1968(昭和43)年に「IR(Industrial Robot)国産化推進室」の新設によって開始されました。翌1969年には国産初の産業用ロボットを開発し、以来、産業用ロボットの有用性にいち早く着目して頂いた企業の皆様と一緒に、ロボットの新たな活用方法を探求し続けて参りました。

産業用ロボットの実用化は、70年代初頭、自動車産業の製造工程への導入を端緒とします。90年代後半には、半導体の製造工程で活躍するクリーンロボットの開発にも取り組むなど、社会的ニーズへの対応を主軸とした思想のもとで、ロボットの活用分野を一つひとつ広げて参りました。

お客様と二人三脚で進めてきたこうしたロボットの開発導入の活動は、日本の高度経済成長と軌を一にし、生産工程の自動化を促進する大きな原動力のひとつになるとともに、モータリゼーションの進展や半導体産業の発展など、ものづくりの歴史に寄与できたことを大変光栄に思っています。

少子高齢化社会が急速に進み、労働力人口の減少が深刻な社会的な問題として懸念される今日、ロボットが担うべき役割は以前にも増して大きくなっています。そうした社会の要請に応えるために、私たちは今、人間と協働するロボットの開発を積極的に進めています。

たとえば、人のすぐそばでも安心して一緒に働くことができる共存ロボットを開発し、導入コスト・時間を短縮することで、ロボット導入の幅を拡大しました。また、遠隔協調機能とAI技術を融合させて熟練技術者の動きを学習・再現する協調ロボットは、熟練技術者の技能を新人に伝承することができる革新的なシステムで、従来ロボット化が困難とされた、人の感覚や技能を要する作業もロボットを通じて受け継ぐことができます。

AIとIoTが有機的に融合した来るべき未来社会の訪れが叫ばれる今、ロボットはまったく新たなフェーズを迎えようとしています。ロボットが活躍する領域は工場内の生産工程にとどまらず、かつてマンガやSF映画で見たような、ロボットが私たちの生活の身近な場面で活躍する日が、すぐそこまで来ています。

それを実現するために私たちは、たとえば医療ロボットの開発を積極的に進めています。先進技術を駆使し、安全性を高めたロボットを医療分野に適用することで、人とロボットの協働によって、医師、患者やその家族の負担を軽減できる社会の実現に取り組んでいます。

また、産学共同開発プロジェクトとして、あらゆる場面で自立的に活動できるロボットの開発に向け、堅牢な体と柔軟な環境対応能力を兼ね備えたヒューマノイドロボットの開発を進めています。オープンプラットフォーム/オープンイノベーションを採り入れ、私たちの考えに共感いただいた多様な分野の方々とのコラボレーションによって開発を加速し、ロボットがより身近な場面で世界に広く普及し活躍することを目指しています。

創業50周年という大きなターニングポイントを迎え、これまでお客様や社会から学び、培ってきた豊富な技術と経験を糧に、次代に向けて新たな目標を見据えています。

いつの時代にも、どこかでロボットを待っている人が必ずいるはずです。私たちはそんな人びとの声に耳を傾け、これからも人と社会の役に立つロボットの開発に全力で取り組みたいと考えています。

産業用ロボットメーカーから総合ロボットメーカーへ─。人の夢を叶え、社会の課題を解決するロボットをつくりたい。そんなロボット・ソリューション・プロバイダーとして、私たちは、人と社会が求めることを、人と共に実現していくロボットづくりに挑戦し続けます。

今後とも引き続き、ご支援を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

2018年6月